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「いつも構図を考えている」~『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』後編~
「いつも構図を考えている」~『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』後編~_c0146550_113854.jpg
2008.02.20 │ 有楽町イトシア │ ROCKちゃん │ Nikon D300 │ TAMRON 17-50mm F/2.8 │ 17mm │ F4.5 │ 1/80秒
露出補正:0 │ ISO200 │ WB:オート │ JPG L NORM │ Pコントロール:ニュートラル │ A・D-ライティング:標準


前編からの続きです。
写真はこの映画の存在を教えてくれ、一緒に観に行った友人のROCKちゃん。

ロッカーに密着してジャンキーになったリーボヴィッツは、厚生施設を出たあと彼女にとって新たな撮影法に取り組む。
セットを使うようになるのだ。
それまでのモデルに密着したジャーナリスト然とした撮影法から、アイディアを練り、作り込む撮影法へ。

そこでも彼女は成功を収める。
ウーピー・ゴールドバーグは、ミルク風呂に入らされ、そこから顔と手足だけ出した写真を撮られた。
「金曜は誰も私のことを知らなかったけど、土曜は皆が私の話をしてたわ」
と彼女。
この写真で有名になったのだ。
ベット・ミドラーは撮影前にムッとする。
「なんで私が棘だらけの薔薇の上に寝なきゃなんないのよ」
しかし棘は抜かれていた。
「彼女が徹夜で全部抜いたと聞いて、もうそれから彼女の言うがままよ!」
とミドラー。
セットは次第に大がりなものになる。
「撮影費に驚くこともあるけど、彼女の写真はインパクトがあって評判もいいので気にしないわ」
と雑誌関係者。

彼女の作品を観て思ったのが、テーマのシンプルさ。
黒人のゴールドバーグなら、ミルクと肌で白黒の対比。
映画「ROSE」なら薔薇。
ジョンとヨーコなら、ヨーコにべた惚れのジョン。
シンプルでストレート。そしてテーマの強調。
メッセージを広く強く伝えるにはこの方法だな、と思った。
しかし、企画会議では叩かれるかも。
ストレートでわかりやすいものは、皮肉屋、アラさがし屋の絶好の標的。

「テーマ」は見つけてしまえば「当たり前じゃん」と思われるが、見つけるのは意外とタイヘン。
企画、準備の段階で様々な情報や頓珍漢な意見が入るのでブレたりする。
その点、被写体の持つテーマを見抜きそれを貫いたリーボヴィッツはさすが。

この時彼女が師事した著名女性カメラマンとのエピソードが興味深かった(名前は失念)。
「選定作業が大事よ」とアドバイスし、数あるショットの中からあっという間に写真を選んだ師匠に「私なら5時間かかる!」とインタビューで驚くリーボヴィッツ。
写真の選定、選ぶ人がちがえば、まったく違う写真を選ぶだろうな、と思うことがある。
一度モデル自身に選んでもらったら、驚いた。彼女にとって損になるショットばかりだった。

師匠にダメだしされるエピソードには感動。
ブルース・スプリングスティーン、ジェイムス・テーラーなどが参加した社会的メッセージを託したコンサートの集合写真を撮ったのだが、それを見た師匠が激怒。
「あなたは大切なチャンスを台無しにしてしまった!」
その集合写真は白い壁の前に皆が立っているだけの写真だった・・・
こういう師匠いいなあ。怖いけど。

写真は構図が大切だが、彼女は子供時代、父の仕事の関係で車で寝泊りすることが多かった。
母親が「ずっと窓から外を眺めていたことが写真に役立っているんでしょうね」と語る。
車の窓がフレームだったわけだ。
リーボヴィッツの「いつも構図を考えている」という言葉も印象的。
彼女の写真はそんなところから来ている。

さて、映画全体についてだが、撮影現場のシーンが多いので、カメラマンならそれだけでも観に行く価値があるかも。
モデルに「ビューティフル、ビューティフル」と声を掛けながら撮影する彼女。
セットを指差しスタッフに「まとまり過ぎてる。もっと散かせて」と注文する彼女。
日暮れの撮影で時間に追われながらも的確に指示する彼女。
馬車の前で「馬はいらない!何で馬を発注したのよ!?馬は写らないのに」とスタッフに詰め寄る彼女。
一流の現場を見るチャンスは少ない。
技術的な話はいっさい無いのでそれを期待する向きにはお勧めしない。

写真に興味のない人にはどうかな。
人間としての彼女には全く迫っていなかった。
有名人へのインタビューも彼女への賛辞で終わらせているし、なによりリーボヴィッツへのインタビューが少なすぎる。
写真について彼女に語らせてほしい。
恋人(女性)や父親の遺体まで撮ったリーボヴィッツに「WHY?」という問いかけをしてほしい。
彼女の背負ったものを描くかどうかが、一般の人が惹き付けられるか否かの分岐点だ。
その点残念だが、「カメラマンのドキュメンタリー」というレアなテーマを選び映画にしたことには素直に拍手。上映中!

ひとりごと。
字幕が見にくかったなあ。
右端に縦書き。
前から2列目の席だったので、映像と字幕を目で追うのがタイヘンで途中から半ば諦めた。
ROCKちゃんを見ると、彼女も忙しく左右、右左と視線を動かし、それがおかしかったりした(笑)。
それにしても彼女、その美貌とスタイルに加え、いつもファッションをキメてくるので撮影のテンションも上がる。感謝!

「いつも構図を考えている」~『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』後編~_c0146550_115492.jpg
2008.02.20 │ 有楽町マルイ「茶寮 花絵」 │ ROCKちゃん │ Nikon D300 │ Tokina AT-X 124 │ 12mm │ F4.0 │ 1/60秒
露出補正:+1.0 │ ISO1100 │ WB:オート │ JPG L NORM │ Pコントロール:ニュートラル │ A・D-ライティング:標準


これでこの映画の感想終わり。
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[関連リンク]
『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』公式サイト
アニー・リーボビッツ:アート・フォト・サイト(略歴)
茶寮 花絵

by Photobra | 2008-02-25 01:09 | 映画
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