アコースティクギターは怖い
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2008.04.16 │ 千代田区神田 │ Nikon D300 │ TAMRON 17-50mm F2.8 │ 17mm │ 露出モード:P │ F2.8 │ 1/125秒
露出補正:+0.5 │ ISO450 │ WB:オート│ JPG L NORM │ Pコントロール:D2xMODE1 │ A・D-ライティング:標準

※後半、大幅に加筆しました。写真と関係ないのに・・・・。

本の街神田に楽器屋が多いことを、ちらしを配りの女の子から聞いた。
よく知らないまま一帯を彷徨っていたので、神田の古書街の中心はどこか訊ねたのだが、親切なことに明大があることや楽器屋が多いこともその場所と共に教えてくれたのだ。

今は楽器は元より音楽自体に興味はないが、「なんとか街」みたいな名称にミーハーな私は弱い。
行ってみると、彼女の言うとうり明大通りの片側にずらりと楽器屋というよりギターショップが並んでいた。
一軒一軒立ち寄ったが、ギターの数に驚いた店はあったものの、当たり前だがどこも普通のギターショップだった。
画像は20万のギブソンとそれを購入し領収書を待つ客。

昔アコースティクギターに凝り100万以上を掛けた経験からウンチクを披露すると、Aギターには3種類ある。

鳴らないギター。
鳴るギター。
鳴ってかつ音のいいギター。

「鳴る」とは、同じタッチでも大きな音が出るという意味だ。よく響くギターのこと。
この3種類のギター、「価格の低いもの順だろう」と思ったあなたは大間違い。
値段に関係ないからAギターは恐ろしい。

こんな経験がある。
ずいぶん以前の話だが、馴染みのギターショップ2軒で80万円もする出たばかりのマーチンの全く同じモデルを同じ日に弾き較べたことがあった。
結果は驚愕の一言だった。
一軒目は、爪弾くとすぐに一緒に行ったギター仲間と目を合わせた。
がんがん鳴るし、音がいい!
彼は文字通り目を丸くした。
さすがにトップブランド・マーチンがその威信をかけて作ったモデルと驚いた。

そして、二軒目。
これがひどかった。
うん十万のカスタムギターを持つ彼が遊びで最近買った3万円の台湾製ギターより劣っていた。
台湾製が「鳴るギター」でそのマーチンが「鳴らない」ギターだったのだ。
正直、そのマーチンはギターとして使い物にならなかった。
またしても私たちは目を合わせ、またしても彼の目は大きく見開かれていたのだった。
別の意味で・・・・。

Aギターは高額になるほど「アタリハズレが大きい」という話。

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興味のない人には退屈かも。
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では、値段がアテにならないのならAギターを買うさいにどうしたらいいのだ?という話になるのだが、音の聴き分けられない人はベテランに聴いてもらうしかない。
ちなみに値段の目安は以下になる(現在のAギター事情は知らないが、変化の少ない業界なので今でも当てはまると思う)。

鳴らないギター ⇒ 全ての価格帯に分布
鳴るギター ⇒ 約3万以上に分布
鳴ってかつ音のいいギター ⇒ 約30万以上に分布。

何故そうなるかというと、「鳴る鳴らない」は「設計、組み立て、保管」の問題で「音のいい悪い」は木材の質によるからだ。いい木材は高価で自然とそれを使ったギターも高くなる。

ベテランについて来てもらおうと決めたあなたは次の問題にぶつかる。
「ベテランて誰だ?」
結論から書くと、1970年前半以前のビンテージマーチンを最低5本以上弾いたことのある人で、なおかつハカランダ(70年代以降保護のため入手困難になったギターに最適な木材の種類)とローズウッド(よく使われるギター用木材)の音色のちがいを聴き分けられる人のことだ。
よくいる青春時代の国産モデルに愛着を示し「国産て意外といい音するんだよね~」と笑顔を浮かべる団塊世代のギターマニアは残念ながらアウト。「鳴るギター」と「鳴ってかつ音のいいギター」を混同してるからだ。
ちなみによく調整されたビンテージマーチンは50万以上することが多い(これは10年くらい前の話)。
そしてその音を聞いたことのある人は極めて少なく、豊かではなかった団塊の世代ならなおさらだ。
ここで言いたいのは、トップクラスの音を聴いた者でなければAギターの良し悪しは判断できないですよ、という当たり前のこと。

また、マニアは「Aギターは年月がたつと乾燥していい音になる」とよく言うがこれも間違い。
確かに管理が良ければ乾燥しよく鳴るようにはなるが「音が普通のギター」が「音の良いギター」になることはない。先に書いたとうり、木材の質が違うからだ。
但し「鳴らないギター」を長期間湿度管理の行き届いた部屋(湿度50~55%くらいが最適とされている)で保存するとびっくりする程鳴るようになることがあるのは確かだ。これは経験済み。全く鳴らないので調整に出したマーチンの12弦ギターが半年以上たって帰って来てガンガンに鳴るようになっていたのでリペア職人に理由を聞くと「いい状態で保存したことが大きい」と言われたことがある。

乾燥については、ギターのトップ(穴が開いている面)に使われる木材には加工の仕方で合板と単板に分けられるが、一般的に低価格の製品に使われている合板製のものは環境の変化に強く、逆にいえば長期乾燥させても単板ほどの変化はない。
単板は湿度変化に敏感なので、湿度管理されていない部屋では日ごとに鳴りが変ることが普通だ。
反対に合板のギターは、湿度の高い日が続くとときなど何倍もの値段の単板のギターよりよく鳴ったりして重宝することがある。

「音のいいギター」の音が長期の乾燥でますます良くなっていくことはあるかも知れない。
実際、私の知る限りもっともいい音のするギターは1950代から1960代にかけて生産されたマーチンだ。
しかし、これは「乾燥」の他に「いい木材が豊富にあった時代の製品」ということも関係しているとも思われる。

ビンテージで「アタリ」のものは現在のトップクラスのマーチンとは音の深さが違う。
かといって「枯れている」かというと、それも違う。むしろパワフルだ。
「パワフルで音に深みがある」
これがビンテージマーチンの真骨頂である。
私がマーチンを買うなら迷わず1970代前半以前のハカランダ仕様のビンテージを選ぶ。
30万円代からあるので現行品と値があまり変らなかったりするからだ(10年前の話)。
もちろん購入のさいには試奏して音をチェックすることは言うまでもない。

ギターは人間と同じで、高い音と低い音を出すのが苦手で、中域・・・弦でいうなら3、4弦の音を出すのが得意である。
なので3、4弦の音は、ギター間の差があまり出ない。
安いギターでも鳴らないギターでもそこそこの音が出る。
問題は低、高音域なのだが、ビンテージマーチンのアタリものは、1弦の9フレットの音でさえ、余裕で鳴る。それ以下の音域と鳴りかたも変らない。
これはすごいことだ。
この音域はたとえ「鳴ってかつ音のいい」ギターでも、程度の差はあれ詰まったような苦しげな音になるからだ。
この高音域で聴く者を魅了することが出来るのは、私の知るところビンテージマーチンの当りものしかない。
その音は、大きく太く豊かで聴く者を甘い気分にさせてくれる。
現行トップクラス(カスタムショップのもの)の当りマーチンも、この音域は素晴らしいが、ビンテージの持つ豊かさと深みが足りない。
ちなみに私が試奏するとき、まず1弦の高フレットと5、6弦の開放を含む低いフレットの音を適当に弾いてみる。
時間にして10秒に満たないが、「鳴り」と「音質」についてはそれで分かる。

ハカランダは別格だ。
昔からギターに一般的に使われて来た木材はローズウッドとマホガニーだが、この二つの木材はお互い相反する要素を持つ。
ローズウッドの音は深く、重く、まとまりがあるかわり、弾いたときのレスポンスが悪く、くぐもった音になりがちだ。
一方マホガニーの音は抜けるように明るくて軽く、まとまりには欠けるがレスポンスがいい。
なので、曲や演奏法よって合う合わないが出てくる。
しかし驚くべきことにハカランダは、この二つの木材の長所・・・相反する要素を併せ持つのだ!
その音は、深く、重く、まとまりがあるのだが、一方明るくて抜けがよくレスポンスがいい。
これはローズウッドとマホガニーの長所短所を熟知した者にとってはまさに夢の木材である。
マニアがハカランダを欲しがるのも頷ける。
ただし入手困難になって久しい現在、この木材でギターを作ると軽く100万を超える。200万近くなるのではないかな。
その意味でもビンテージはお買い得だ。
もちろんいいギターを選ぶには聞き分けられる耳が必要だが・・・・・。

ビンテージにはこんな経験がある。
私の弟が1940年代のマーチンを買ったというので弾きに行くと全く鳴らないギターだったので笑いそうになったのだ。
本人は「枯れている」と気に入っていた様子だが、なんのことはない「鳴らないギター」を買ってしまったのだ。
もちろん「その音が好き」という人もいるかも知れないが、それなら30万という大金を出さずともたまにゴミとして打ち捨てられている通販の一万円代のギターを拾ってくればいい。音はほぼ同じだ。
弟の得意気な様子に私は本当のことは言わず「いいギターだ。良かったな」と言って帰った。
結局弟はすぐそのギターを売ってしまった。

なぜ私がエラそうに講釈を垂れられるかというと、ひとえにビンテージAギターの収集家であるKさんとの出会いがあったからである。
彼の部屋にずらっと並んだビンテージマーチンやビンテージギブソンを何度も弾かせて貰っていたのが、中でもその世界で知らぬ者のいない有名な職人によってリペアされた100万以上もするマーチンの音を初めて聞いた時は驚いた。
「ピアノだ!」
と思った。
小さなボディから出る音は今まで聞いたことのない大きさで、かつ6本とは思えないもっとさくさんの弦が鳴っているように思えた。
「これはマニアでなくても、誰が聞いても驚く!」
とも思った。
後から考えれば「鳴ってかつ音のいいギター」の典型的特長なのだが、後にも先にもそのギターに肩を並べるどころか比較できるギターにさえ出会ったことはない。

その頃すでにギター歴10年の私に、そのギターが本当のAギターの素晴らしさを教えてくれ、私はビンテージにハマっていった。
ちなみに所有者である彼はギタリストで、ライブで何度も私をサポートをしてくれた。
今は懐かしい想い出である。

あ、もう一つ、より簡単なギターの購入法があった。
このエントリーを読まなかったことにすることだ。
例えあなたが、高価だがクソみたいな音質のギターを買ったとしても、ニコニコしていられる。

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2008.04.16 │ 千代田区神田 │ Nikon D300 │ TAMRON 17-50mm F2.8 │ 17mm │ 露出モード:P │ F2.8 │ 1/80秒
露出補正:+0.5 │ ISO1600 │ WB:オート│ JPG L NORM │ Pコントロール:D2xMODE1 │ A・D-ライティング:標準

画像と本文は関係ありません。
上のギターのメーカー「GUILD」は3大アコースティックギターメーカーの中で唯一良心的なメーカーです。

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by Photobra | 2008-04-17 23:45 | 日記・そのほか
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